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今回は、Channel FireballのPVことPaulo Vitor Damo da Rosaの記事(http://www.channelfireball.com/articles/3-critical-mistakes-we-made-in-our-pro-tour-kaladesh-testing/)を翻訳してみた。
個人的には初めての試みであり、訳し方以前に意味がとれないところがあり、そこはこっそり飛ばして訳してある。
これは忠実な和訳ではなく、日本語としての読みやすさに重点を置いた「意訳」を多分に含むものであることに注意してほしい。
日本語で市川ユウキさんの調整記事が上がり、そちらでも調整の失敗がテーマなので、その「失敗」の違いも面白いかもしれない。
それでは、本文どうぞ。
※和訳ミスなどあればコメントよろしくお願いします。
PTカラデシュの調整で犯した3つの致命的なミス
PTカラデシュは、Pantheonのチームを 組んで以降、チーム全体としては最悪の成績だった。私達は、「メンバー平均」という指標においては、チーム全員が2日目に進出したため大体首位だったが、55%の勝率は5番目であり、チームのほぼ全員の(普段の)平均より低かった。今回、テスト中にLeague of Legendsの世界選手権や他の理由で少々怠けたとは思っており、これはこの結果を一部説明してくれるが、最大の問題は、私達のデッキが、信じられないくらい立ち位置が悪かったことにある。この記事では、二度と同じミスを繰り返さないようにするために、私達がデッキ選択において犯した中心的なミスを見極めることに焦点を当てよう。プレイしたデッキについてと、前進するために何をするかについても少し話そう。
これが私達のプレイしたデッキだ。
――デッキリスト――
土地
赤黒バトラン×2
緑黒ミシュラ×4
緑黒ファスト×4
進化する未開地×1
森×6
沼×6
山×1
生物
膨らんだ意識曲げ×1
残忍な剥ぎ取り×4
カリタス×3
イシュカナ×3
巡礼者の目×2
エムラクール×1
スペル
リリアナ×4
光輝の炎×2
ウルヴェンワルド横断×4
過去との取り組み×2
闇の掌握×4
発生の器×4
殺害×2
サイドボード
破滅の道×2
ニッサ×2
スラキバ×1
人工物への興味×1
知恵の拝借×2
精神背信×3
トラッカー×2
本質の抽出×1
黒巨人×1
メインデッキは大体皆同じで、サイドボードはメンバーによって少し違うものの、違いは(餌食が破滅の道に優先しているなどの)最小限に留まる。
このデッキは、トラッカーとニッサと衰滅がなくなったこと以外、前回のPTでプレイしたものとかなり似ている。ゲーム中盤で活躍するだろうそれらの良いカードの代わりに、私達は昂揚達成と、一貫してエムラクールを唱えるため、過去との取り組みと発生の器を入れた。前回PTの私達のデッキは、超ロングゲームになればエムラクールを唱えることもあるミッドレンジデッキだった。今回のデッキは、ただエムラクールを唱える時間を稼ぐ、エムラクールデッキだった。考え直すまでもなく、エムラクールはデッキの中心的一枚だった。
衰滅に代わって、私達は光輝の炎を2枚タッチした。巡礼者の目とウルヴェンワルド横断をプレイしたいため、タッチするのは殆どタダみたいなものだったが、タッチしなければ23枚で良い所、タッチにより24枚目の土地を入れざるを得なかった。
光輝の炎はコプターが跋扈する世界ではよくないと思う人もいるかもしれないが、コプターに対しては確かに微妙なものの、大部分のコプターデッキは沢山の軽量クリーチャーを搭乗員としてプレイしなければならないので、光輝の炎はそれらの搭乗員には刺さる。
光輝の炎は、衰滅ほどよくはなく、特に無私の霊魂に対してはだめだ。しかし、カリタスやイシュカナは相手に横に並べることを強要するが、全体除去がないとそれを咎めることが出来ないため、全体除去を入れることは重要だと考えた。光輝の炎があれば、展開しないで中盤のクリーチャーにやられるか、オールインして光輝の炎に負けるか、相手は知りようもない。また、カリタスとのコンボも素晴らしい。
デッキの残りの部分はとても素直だ。概ねコントロールデッキであるが、残忍な剥ぎ取りによる速い攻撃も可能な昂揚デッキである。私達のデッキは、アグロデッキと墓地系のデッキに相性がよく、コントロールデッキにも相性がよかった。赤緑エネルギーには相性が悪く、霊気池デッキにはかなり悪かった。ミラーマッチの1ゲーム目もかなり相性が悪い。なぜなら、何も意味のないカードをタッチしており、精神壊しの悪魔の代わりにカリタスを入れ(どちらもよいという訳ではないが、カリタスは闇の掌握で簡単に死ぬ一方、精神壊しの悪魔はエムラクールのコストを低くしたり、リリアナを倒す役割が持てる)ているためである。しかし、ミラー用のサイドカードを通常より多くとっている。あなたは知らないかもしれないが、霊気池デッキは頭一つ抜けて1番人気があり、昂揚ミラーが2番目に多く、これらは私達にとってよい結果につながらなかった。
チームとしては、私達は初日の構築では実によくやった。複数のメンバーが霊気池を倒しつつ、2番目に高い勝率である60%をマークした。私達のデッキはおそらくそんなに悪くないと思うに至った。しかし、2日目、現実が上位への道を打ち砕き、皆、霊気池デッキに複数回負け、55%という平凡なチーム勝率となった。
さて、どうしてそんなクソなデッキを使ってしまったのか?どうやってそんなにもメタゲームを読み間違ったのか?
私達は3つの初歩的なミスの犠牲になった:
第一のミス:SCGとMOの結果のもつ影響を過大評価したこと
今回のトーナメントでの最大のミスは、攻撃的なデッキが環境に与え得る影響を過大評価したことだ。SCGもMOもほとんどのデッキがアグロだった。もっと重要なのは、私達のテストプレイでもアグロデッキは非常によいということが分かっていたことだ。赤白、赤黒は特に速く、強力で、能動的な戦略を持ち、また、秘蔵の縫合体アグロは速く、粘り強かった。私達は、ほとんどの人が同じ結論に至り、アグロ戦略をとるか、そのデッキを倒す、軽量除去に強く頼ったコントロールなどのデッキを使うと想定していた。
アグロデッキに対しては、闇の掌握や光輝の炎、カリタスにイシュカナのパッケージがあり、有利になるには十分だと信じていた。除去の多いコントロールに対しては、対処されにくい脅威が多く入っており、エムラクールもある。今の除去のほとんどは、タフネス依存のものであり、コントロールデッキのなかでも全体除去のないものもあるため、イシュカナやカリタスや残忍な剥ぎ取りは、実際のところ対処しやすいものではなく、複数の除去をそれぞれに打ち込む必要があることも多い。リリアナや過去との取り組みによる再利用があり、ゲーム終盤にはエムラクールが出てくる可能性もあり、よいマッチアップが多いと思っていた。サイドボードは大体のコントロールデッキに対してよいものとなっており、除去を全部抜いて相手を混乱させたりトラッカーや生命の力ニッサなど対処しづらい脅威を入れることもできる。
実際には、アグロデッキは今回のトーナメントでは想像したほど人気ではなく、霊気池デッキは予想以上に人気だった。
第二のミス:ぶっ壊れデッキ要因を計算に入れていなかった。
霊気池デッキを調整したが、一貫性がなさすぎると判断した。ある程度強力ではあるが、失敗する確率が高いのだ。霊気池を見つけられないかもしれないし、6個のエネルギーカウンターを溜められないかもしれないし、はたまた起動しても(エムラやウラモグが)見つけられないかもしれない。一番は、エルドラージを見つけたとしても、勝てないかもしれないのだ。アグロデッキのなかにはウラモグでさえぶち抜いて倒せるぐらい横に並ぶデッキもあるのだ。相手が何かしてくる場合を含まずともこんなにも失敗するデッキなのだ。さらには、否認や儀礼的拒否といったものに対し大きな問題を抱え、呪文捕らえに勝てない。他のプレイヤーもこれらの問題を全て見極めるためそのため霊気池なんて全く気にする必要はないために、霊気池デッキをみんなプレイしないという結論に自然と至った。私達は、大体5%ぐらいしかいないだろうと予想した。
この評価の問題は、「ぶっ壊れデッキ」要因を考慮しなかったことにある。PTでプレイしているときの大部分の時間において、どんなフォーマットでも大きく有利を付けるということはない。というのも。ほとんどのプレイヤーは上手く、また沢山調整してきているからだ。大きく有利を付け得るのは、環境をみんなが予測していない角度から攻めるときや、カウ・ブレードやエルドラージなどただただ相手より強いデッキを使っているときだ。ぶっ壊れデッキを見つけ、みんながそれに準備できていないとき、他のみんなとは違うフォーマットをプレイしているように感じるだろう。勝つことはより簡単になる。壊れデッキを持っていくことはPTプレイヤーの夢である。なぜなら、そんなときは勝率が空までぶっ飛んでいくからだ。霊気池デッキは壊れデッキに見えるデッキだ。他のデッキがやらないことを、他の誰よりも速くやるデッキだ。それでも一貫してないっていうのか?そうだ。だけど、壊れデッキ足り得たのであるから、それは問題ではない。間違っていたら、8-8ラインだろうが、もし正しかったら、チーム全体がトップエイトに進むだろう。トーナメントマジックは、そのような賭けに出たときの見返りが非常に大きくなるため、(意訳)トーナメントの裏を書くよう歪みが強く生じている。そのため、一貫性のないデッキだが壊れデッキになり得るものをプレイするのは、2回に1回以下でも正しければよいので、非常に魅力的である。
この一連の考えが、多くのチームに霊気池デッキをプレイさせた。会場のデッキは、霊気池に対する準備はできていた(多くのプレイヤーが儀礼的拒否をアグロデッキでタッチしていた等)ため、霊気池デッキは実際には芳しくなかったが、私達は対策していなかったため、それに何度も何度もぶっ潰された。
最終的に、霊気池デッキは一貫してないデッキにもかかわらず、B/G昂揚相手であればその問題はない等しかった。私達は呪文捕らえも儀礼的拒否も唱えず、デッキが回っていないときにとがめるだけのプレッシャーをかけることもできなかった。4ターン目に起動して倒しにくる必要はなく、10ターン目まで待ってもよいのだ。そして何度も何度も起動できるから空打ちの心配もない。1回目の起動が霊気との調和で、二回目がイシュカナだったときも負けた。ウラモグもエムラクールもどちらかプレイされてしまえば倒せない。これにより、B/G/r昂揚デッキは環境に25%もいた霊気池デッキに対し相性が最悪になった。
第三のミス:いつも相手に何をプレイされるか分かっていたため調整がゆがんでしまった
調整では、常に何をプレイされるか分かっている。デッキだけでなく、何が入っているかまで分かっているのだ。これはPTでもたまに、構成に多様性がなければ起こり得ることだ。例えば、前回のPTでは、伐採地の滝、平地、森の代言者と動かれたならば、2~3枚違い以内でデッキリストを言い当てることができたであろう。環境末期だったからだ。しかし、ときには皆が様々なカードを使ってくるため分からないこともある。何をプレイされるか正確に分かっていないとき、受動的なデッキをプレイするのは非常に難しい。私達は相手が何をプレイするのか分からないまま受動的なデッキを使っていた。
例えば、複数のデュアルランドをプレイしながらコプターと屑鉄場のたかり屋を序盤にプレイしてくるデッキとマッチアップしたとする。相手のターン終わりに発生の器を起動し、リリアナと残忍な剥ぎ取りで悩み、剥ぎ取りを選んだ。相手は次のターン引き続いて静電気式打撃体をプレイしてきて、その次のターンには私を倒した。もしそいつが入っていると知っていたら、リリアナを選んだ。しかし、どうやって知り得たというのだろうか。
同じようなことが他のマッチアップでも起こった。白黒デッキの相手が、第1ゲームにこちらのイシュカナトークンに石の宣告を打ち、攻撃クリーチャーにギデオンの叱責を打ってきた。昂揚デッキだった相手は2枚目の予想できなかったエムラクールをプレイしてきた。こんなことは調整では起こらなかった。
サイドボードに話が移ったとしても、問題はより複雑になる。多種多様な霊気池デッキと対戦し、全く違うサイドプランを持っていた。赤緑の相手はチャンドラとニッサをいれてきたし、バントの相手はトラッカーや呪文捕らえとタミヨウを、RUGの相手はカンスぺを入れてきただけだった。あるプレイヤーに対しては、知恵の拝借で霊気池を抜いたのに、老いたる深海鬼と希望を溺れさせるものにやられるだけだった。
全てに対処することは非常に困難であるため、不安定な立ち位置へと追いやられる。呪文捕らえとトラッカーを持っていたら闇の掌握が欲しいし、深海鬼がいたら殺害が欲しい、プレインズウォーカーがいたら破滅の道が欲しいのだ。全部相手が持っていなかったら、除去は必要ない。問題なのは、間違ったらたいてい負けるということであるが、正しくても自動的に勝てるわけではないということだ。
最終的に、完全な情報をもって受動的なデッキをプレイしていたことが私達の勝率を幾分ゆがめてしまったということを認識しなければならなかった。
前進
もし仮にB/G昂揚はPTでよいデッキだったかと聞かれれば、ノーと答える、実によくなかった。皆が何かしら壊れムーブをしていた。エムラクールか、4ターン目の40/40の静電気式打撃体や、5ターン目の3体のコロッサス...。私達はデッキが回って成功したとしても、3体のイシュカナトークンに軽くなったエムラくらいである。とはいえ、これは必ずしもデッキが悪かったということを意味しない。これが意味するのは、3体のイシュカナトークンや低コストのエムラを唱えるのが十分に意味のあるメタゲームまで待つ必要があるということに過ぎない。
PTでは違ったが、アグロとコントロールといういつも通りのメタであれば、それは私達のデッキが輝くときだ。PTトップ8を見ると、そこでは立ち位置がよいことがわかろう。霊気池デッキは絶対倒せないけどね。霊気池デッキがどんなに悪く、青いカードと特に呪文捕らえにいかに脆弱かを前提とすれば、将来、PTでの人気からは程遠いと予想できる。そのことは、私達のデッキをメタゲーム上良いデッキとする。
最近のGPの結果はこの考えを補強してくれるだろう。霊気池デッキは、基本的には消え去った。そして、青白フラッシュと機体デッキがより一般的になった。これにより、B/G昂揚の人気も急上昇することとなった。青白フラッシュはPT調整でレーダーに引っかからなかったが、イシュカナに困るデッキであり、きっと倒せるデッキだ。
私達は、PT後の光輝の炎について話したが、どれに対してもよくないというコンセンサスを得た。個人的には、10戦中9戦でサイドアウトした。しかもたいていは山と一緒に。全然よくないカードだ。たった1回戦のためだけにタッチしていたのだ。結論として、タッチするほどの価値があるカードではなかったため、もし使うなら純正のB/G昂揚に移行するだろう。
光輝の炎を切るなら、デッキでできる事が広がる。文字通り、1枚ずつ土地と巡礼者の目を削れる。巡礼者の目はタッチカラーがないならひどいカードだが、エムラクールのために1枚いれるのは好きで、巡礼者の目は軽くて一番いいカードだ。2枚目の巡礼者のめは黒巨人に変え、2枚目のアーティファクトカウントとして掘っていってもいいし、ウルヴェンワルド横断のサーチ先に多様性が増すだろう。私は何にせよ、常々4枚の横断と取り組みを積んだデッキで24枚の土地を入れるのは多いと思っているから、土地を23枚に減らしても大丈夫だと思うよ。2枚目の巡礼者の目がなければ、膨らんだ意識曲げはサイドボードに移動してもいいと思う。コントロールやB/G昂揚が多い環境だと思えばメインデッキに戻してもいいけどね。
光輝の炎を抜いたから、ソーサリーが欲しいかもしれない。2つの可能性がある:破滅の道と精神背信である。どちらもこのフォーマットではそこまで好きではないが、少数入れるだけなら反対はしない。特に、ギデオンが多い今だったら特に。私なら破滅の道1枚とおそらく精神背信1枚を試すだろう。破滅の道2枚もあり得なくはない。
クリーチャーに関していえば、トラッカーが好きだね。最高のサイドカードであり、メインに2枚入れてもいいと思っている。巡礼者の目と光輝の炎を削ったので3枚の余裕があるが、ゾンビデッキは考えていたほどあまり多くないのでカリタスを削ってもよい(だけど私は、カリタスは赤黒デッキと墓地系デッキに刺さるので入れておくだろう)。他の可能性としては、森の代言者があり、スレイベンの検査官や反射魔道士、発明者の見習いが多い今、よいブロッカーとなるだろう。残忍な剥ぎ取りを削るのは最悪の選択だが、残忍な剥ぎ取り4枚に加えて2枚ほどプレイするなら合理的だろう。
もし仮に明日トーナメントでこのデッキをプレイするなら、こんな感じで出るよ。
――デッキリスト――
土地
緑黒ミシュラ×4
緑黒ファスト×4
進化する未開地×4
森×5
沼×6
生物
残忍な剥ぎ取り×4
カリタス×2
イシュカナ×3
巡礼者の目×1
黒巨人×1
エムラクール×1
トラッカー×2
スペル
リリアナ×4
ウルヴェンワルド横断×4
過去との取り組み×3
闇の掌握×4
発生の器×4
殺害×2
破滅の道×1
精神背信×1
個人的には初めての試みであり、訳し方以前に意味がとれないところがあり、そこはこっそり飛ばして訳してある。
これは忠実な和訳ではなく、日本語としての読みやすさに重点を置いた「意訳」を多分に含むものであることに注意してほしい。
日本語で市川ユウキさんの調整記事が上がり、そちらでも調整の失敗がテーマなので、その「失敗」の違いも面白いかもしれない。
それでは、本文どうぞ。
※和訳ミスなどあればコメントよろしくお願いします。
PTカラデシュの調整で犯した3つの致命的なミス
PTカラデシュは、Pantheonのチームを 組んで以降、チーム全体としては最悪の成績だった。私達は、「メンバー平均」という指標においては、チーム全員が2日目に進出したため大体首位だったが、55%の勝率は5番目であり、チームのほぼ全員の(普段の)平均より低かった。今回、テスト中にLeague of Legendsの世界選手権や他の理由で少々怠けたとは思っており、これはこの結果を一部説明してくれるが、最大の問題は、私達のデッキが、信じられないくらい立ち位置が悪かったことにある。この記事では、二度と同じミスを繰り返さないようにするために、私達がデッキ選択において犯した中心的なミスを見極めることに焦点を当てよう。プレイしたデッキについてと、前進するために何をするかについても少し話そう。
これが私達のプレイしたデッキだ。
――デッキリスト――
土地
赤黒バトラン×2
緑黒ミシュラ×4
緑黒ファスト×4
進化する未開地×1
森×6
沼×6
山×1
生物
膨らんだ意識曲げ×1
残忍な剥ぎ取り×4
カリタス×3
イシュカナ×3
巡礼者の目×2
エムラクール×1
スペル
リリアナ×4
光輝の炎×2
ウルヴェンワルド横断×4
過去との取り組み×2
闇の掌握×4
発生の器×4
殺害×2
サイドボード
破滅の道×2
ニッサ×2
スラキバ×1
人工物への興味×1
知恵の拝借×2
精神背信×3
トラッカー×2
本質の抽出×1
黒巨人×1
メインデッキは大体皆同じで、サイドボードはメンバーによって少し違うものの、違いは(餌食が破滅の道に優先しているなどの)最小限に留まる。
このデッキは、トラッカーとニッサと衰滅がなくなったこと以外、前回のPTでプレイしたものとかなり似ている。ゲーム中盤で活躍するだろうそれらの良いカードの代わりに、私達は昂揚達成と、一貫してエムラクールを唱えるため、過去との取り組みと発生の器を入れた。前回PTの私達のデッキは、超ロングゲームになればエムラクールを唱えることもあるミッドレンジデッキだった。今回のデッキは、ただエムラクールを唱える時間を稼ぐ、エムラクールデッキだった。考え直すまでもなく、エムラクールはデッキの中心的一枚だった。
衰滅に代わって、私達は光輝の炎を2枚タッチした。巡礼者の目とウルヴェンワルド横断をプレイしたいため、タッチするのは殆どタダみたいなものだったが、タッチしなければ23枚で良い所、タッチにより24枚目の土地を入れざるを得なかった。
光輝の炎はコプターが跋扈する世界ではよくないと思う人もいるかもしれないが、コプターに対しては確かに微妙なものの、大部分のコプターデッキは沢山の軽量クリーチャーを搭乗員としてプレイしなければならないので、光輝の炎はそれらの搭乗員には刺さる。
光輝の炎は、衰滅ほどよくはなく、特に無私の霊魂に対してはだめだ。しかし、カリタスやイシュカナは相手に横に並べることを強要するが、全体除去がないとそれを咎めることが出来ないため、全体除去を入れることは重要だと考えた。光輝の炎があれば、展開しないで中盤のクリーチャーにやられるか、オールインして光輝の炎に負けるか、相手は知りようもない。また、カリタスとのコンボも素晴らしい。
デッキの残りの部分はとても素直だ。概ねコントロールデッキであるが、残忍な剥ぎ取りによる速い攻撃も可能な昂揚デッキである。私達のデッキは、アグロデッキと墓地系のデッキに相性がよく、コントロールデッキにも相性がよかった。赤緑エネルギーには相性が悪く、霊気池デッキにはかなり悪かった。ミラーマッチの1ゲーム目もかなり相性が悪い。なぜなら、何も意味のないカードをタッチしており、精神壊しの悪魔の代わりにカリタスを入れ(どちらもよいという訳ではないが、カリタスは闇の掌握で簡単に死ぬ一方、精神壊しの悪魔はエムラクールのコストを低くしたり、リリアナを倒す役割が持てる)ているためである。しかし、ミラー用のサイドカードを通常より多くとっている。あなたは知らないかもしれないが、霊気池デッキは頭一つ抜けて1番人気があり、昂揚ミラーが2番目に多く、これらは私達にとってよい結果につながらなかった。
チームとしては、私達は初日の構築では実によくやった。複数のメンバーが霊気池を倒しつつ、2番目に高い勝率である60%をマークした。私達のデッキはおそらくそんなに悪くないと思うに至った。しかし、2日目、現実が上位への道を打ち砕き、皆、霊気池デッキに複数回負け、55%という平凡なチーム勝率となった。
さて、どうしてそんなクソなデッキを使ってしまったのか?どうやってそんなにもメタゲームを読み間違ったのか?
私達は3つの初歩的なミスの犠牲になった:
第一のミス:SCGとMOの結果のもつ影響を過大評価したこと
今回のトーナメントでの最大のミスは、攻撃的なデッキが環境に与え得る影響を過大評価したことだ。SCGもMOもほとんどのデッキがアグロだった。もっと重要なのは、私達のテストプレイでもアグロデッキは非常によいということが分かっていたことだ。赤白、赤黒は特に速く、強力で、能動的な戦略を持ち、また、秘蔵の縫合体アグロは速く、粘り強かった。私達は、ほとんどの人が同じ結論に至り、アグロ戦略をとるか、そのデッキを倒す、軽量除去に強く頼ったコントロールなどのデッキを使うと想定していた。
アグロデッキに対しては、闇の掌握や光輝の炎、カリタスにイシュカナのパッケージがあり、有利になるには十分だと信じていた。除去の多いコントロールに対しては、対処されにくい脅威が多く入っており、エムラクールもある。今の除去のほとんどは、タフネス依存のものであり、コントロールデッキのなかでも全体除去のないものもあるため、イシュカナやカリタスや残忍な剥ぎ取りは、実際のところ対処しやすいものではなく、複数の除去をそれぞれに打ち込む必要があることも多い。リリアナや過去との取り組みによる再利用があり、ゲーム終盤にはエムラクールが出てくる可能性もあり、よいマッチアップが多いと思っていた。サイドボードは大体のコントロールデッキに対してよいものとなっており、除去を全部抜いて相手を混乱させたりトラッカーや生命の力ニッサなど対処しづらい脅威を入れることもできる。
実際には、アグロデッキは今回のトーナメントでは想像したほど人気ではなく、霊気池デッキは予想以上に人気だった。
第二のミス:ぶっ壊れデッキ要因を計算に入れていなかった。
霊気池デッキを調整したが、一貫性がなさすぎると判断した。ある程度強力ではあるが、失敗する確率が高いのだ。霊気池を見つけられないかもしれないし、6個のエネルギーカウンターを溜められないかもしれないし、はたまた起動しても(エムラやウラモグが)見つけられないかもしれない。一番は、エルドラージを見つけたとしても、勝てないかもしれないのだ。アグロデッキのなかにはウラモグでさえぶち抜いて倒せるぐらい横に並ぶデッキもあるのだ。相手が何かしてくる場合を含まずともこんなにも失敗するデッキなのだ。さらには、否認や儀礼的拒否といったものに対し大きな問題を抱え、呪文捕らえに勝てない。他のプレイヤーもこれらの問題を全て見極めるためそのため霊気池なんて全く気にする必要はないために、霊気池デッキをみんなプレイしないという結論に自然と至った。私達は、大体5%ぐらいしかいないだろうと予想した。
この評価の問題は、「ぶっ壊れデッキ」要因を考慮しなかったことにある。PTでプレイしているときの大部分の時間において、どんなフォーマットでも大きく有利を付けるということはない。というのも。ほとんどのプレイヤーは上手く、また沢山調整してきているからだ。大きく有利を付け得るのは、環境をみんなが予測していない角度から攻めるときや、カウ・ブレードやエルドラージなどただただ相手より強いデッキを使っているときだ。ぶっ壊れデッキを見つけ、みんながそれに準備できていないとき、他のみんなとは違うフォーマットをプレイしているように感じるだろう。勝つことはより簡単になる。壊れデッキを持っていくことはPTプレイヤーの夢である。なぜなら、そんなときは勝率が空までぶっ飛んでいくからだ。霊気池デッキは壊れデッキに見えるデッキだ。他のデッキがやらないことを、他の誰よりも速くやるデッキだ。それでも一貫してないっていうのか?そうだ。だけど、壊れデッキ足り得たのであるから、それは問題ではない。間違っていたら、8-8ラインだろうが、もし正しかったら、チーム全体がトップエイトに進むだろう。トーナメントマジックは、そのような賭けに出たときの見返りが非常に大きくなるため、(意訳)トーナメントの裏を書くよう歪みが強く生じている。そのため、一貫性のないデッキだが壊れデッキになり得るものをプレイするのは、2回に1回以下でも正しければよいので、非常に魅力的である。
この一連の考えが、多くのチームに霊気池デッキをプレイさせた。会場のデッキは、霊気池に対する準備はできていた(多くのプレイヤーが儀礼的拒否をアグロデッキでタッチしていた等)ため、霊気池デッキは実際には芳しくなかったが、私達は対策していなかったため、それに何度も何度もぶっ潰された。
最終的に、霊気池デッキは一貫してないデッキにもかかわらず、B/G昂揚相手であればその問題はない等しかった。私達は呪文捕らえも儀礼的拒否も唱えず、デッキが回っていないときにとがめるだけのプレッシャーをかけることもできなかった。4ターン目に起動して倒しにくる必要はなく、10ターン目まで待ってもよいのだ。そして何度も何度も起動できるから空打ちの心配もない。1回目の起動が霊気との調和で、二回目がイシュカナだったときも負けた。ウラモグもエムラクールもどちらかプレイされてしまえば倒せない。これにより、B/G/r昂揚デッキは環境に25%もいた霊気池デッキに対し相性が最悪になった。
第三のミス:いつも相手に何をプレイされるか分かっていたため調整がゆがんでしまった
調整では、常に何をプレイされるか分かっている。デッキだけでなく、何が入っているかまで分かっているのだ。これはPTでもたまに、構成に多様性がなければ起こり得ることだ。例えば、前回のPTでは、伐採地の滝、平地、森の代言者と動かれたならば、2~3枚違い以内でデッキリストを言い当てることができたであろう。環境末期だったからだ。しかし、ときには皆が様々なカードを使ってくるため分からないこともある。何をプレイされるか正確に分かっていないとき、受動的なデッキをプレイするのは非常に難しい。私達は相手が何をプレイするのか分からないまま受動的なデッキを使っていた。
例えば、複数のデュアルランドをプレイしながらコプターと屑鉄場のたかり屋を序盤にプレイしてくるデッキとマッチアップしたとする。相手のターン終わりに発生の器を起動し、リリアナと残忍な剥ぎ取りで悩み、剥ぎ取りを選んだ。相手は次のターン引き続いて静電気式打撃体をプレイしてきて、その次のターンには私を倒した。もしそいつが入っていると知っていたら、リリアナを選んだ。しかし、どうやって知り得たというのだろうか。
同じようなことが他のマッチアップでも起こった。白黒デッキの相手が、第1ゲームにこちらのイシュカナトークンに石の宣告を打ち、攻撃クリーチャーにギデオンの叱責を打ってきた。昂揚デッキだった相手は2枚目の予想できなかったエムラクールをプレイしてきた。こんなことは調整では起こらなかった。
サイドボードに話が移ったとしても、問題はより複雑になる。多種多様な霊気池デッキと対戦し、全く違うサイドプランを持っていた。赤緑の相手はチャンドラとニッサをいれてきたし、バントの相手はトラッカーや呪文捕らえとタミヨウを、RUGの相手はカンスぺを入れてきただけだった。あるプレイヤーに対しては、知恵の拝借で霊気池を抜いたのに、老いたる深海鬼と希望を溺れさせるものにやられるだけだった。
全てに対処することは非常に困難であるため、不安定な立ち位置へと追いやられる。呪文捕らえとトラッカーを持っていたら闇の掌握が欲しいし、深海鬼がいたら殺害が欲しい、プレインズウォーカーがいたら破滅の道が欲しいのだ。全部相手が持っていなかったら、除去は必要ない。問題なのは、間違ったらたいてい負けるということであるが、正しくても自動的に勝てるわけではないということだ。
最終的に、完全な情報をもって受動的なデッキをプレイしていたことが私達の勝率を幾分ゆがめてしまったということを認識しなければならなかった。
前進
もし仮にB/G昂揚はPTでよいデッキだったかと聞かれれば、ノーと答える、実によくなかった。皆が何かしら壊れムーブをしていた。エムラクールか、4ターン目の40/40の静電気式打撃体や、5ターン目の3体のコロッサス...。私達はデッキが回って成功したとしても、3体のイシュカナトークンに軽くなったエムラくらいである。とはいえ、これは必ずしもデッキが悪かったということを意味しない。これが意味するのは、3体のイシュカナトークンや低コストのエムラを唱えるのが十分に意味のあるメタゲームまで待つ必要があるということに過ぎない。
PTでは違ったが、アグロとコントロールといういつも通りのメタであれば、それは私達のデッキが輝くときだ。PTトップ8を見ると、そこでは立ち位置がよいことがわかろう。霊気池デッキは絶対倒せないけどね。霊気池デッキがどんなに悪く、青いカードと特に呪文捕らえにいかに脆弱かを前提とすれば、将来、PTでの人気からは程遠いと予想できる。そのことは、私達のデッキをメタゲーム上良いデッキとする。
最近のGPの結果はこの考えを補強してくれるだろう。霊気池デッキは、基本的には消え去った。そして、青白フラッシュと機体デッキがより一般的になった。これにより、B/G昂揚の人気も急上昇することとなった。青白フラッシュはPT調整でレーダーに引っかからなかったが、イシュカナに困るデッキであり、きっと倒せるデッキだ。
私達は、PT後の光輝の炎について話したが、どれに対してもよくないというコンセンサスを得た。個人的には、10戦中9戦でサイドアウトした。しかもたいていは山と一緒に。全然よくないカードだ。たった1回戦のためだけにタッチしていたのだ。結論として、タッチするほどの価値があるカードではなかったため、もし使うなら純正のB/G昂揚に移行するだろう。
光輝の炎を切るなら、デッキでできる事が広がる。文字通り、1枚ずつ土地と巡礼者の目を削れる。巡礼者の目はタッチカラーがないならひどいカードだが、エムラクールのために1枚いれるのは好きで、巡礼者の目は軽くて一番いいカードだ。2枚目の巡礼者のめは黒巨人に変え、2枚目のアーティファクトカウントとして掘っていってもいいし、ウルヴェンワルド横断のサーチ先に多様性が増すだろう。私は何にせよ、常々4枚の横断と取り組みを積んだデッキで24枚の土地を入れるのは多いと思っているから、土地を23枚に減らしても大丈夫だと思うよ。2枚目の巡礼者の目がなければ、膨らんだ意識曲げはサイドボードに移動してもいいと思う。コントロールやB/G昂揚が多い環境だと思えばメインデッキに戻してもいいけどね。
光輝の炎を抜いたから、ソーサリーが欲しいかもしれない。2つの可能性がある:破滅の道と精神背信である。どちらもこのフォーマットではそこまで好きではないが、少数入れるだけなら反対はしない。特に、ギデオンが多い今だったら特に。私なら破滅の道1枚とおそらく精神背信1枚を試すだろう。破滅の道2枚もあり得なくはない。
クリーチャーに関していえば、トラッカーが好きだね。最高のサイドカードであり、メインに2枚入れてもいいと思っている。巡礼者の目と光輝の炎を削ったので3枚の余裕があるが、ゾンビデッキは考えていたほどあまり多くないのでカリタスを削ってもよい(だけど私は、カリタスは赤黒デッキと墓地系デッキに刺さるので入れておくだろう)。他の可能性としては、森の代言者があり、スレイベンの検査官や反射魔道士、発明者の見習いが多い今、よいブロッカーとなるだろう。残忍な剥ぎ取りを削るのは最悪の選択だが、残忍な剥ぎ取り4枚に加えて2枚ほどプレイするなら合理的だろう。
もし仮に明日トーナメントでこのデッキをプレイするなら、こんな感じで出るよ。
――デッキリスト――
土地
緑黒ミシュラ×4
緑黒ファスト×4
進化する未開地×4
森×5
沼×6
生物
残忍な剥ぎ取り×4
カリタス×2
イシュカナ×3
巡礼者の目×1
黒巨人×1
エムラクール×1
トラッカー×2
スペル
リリアナ×4
ウルヴェンワルド横断×4
過去との取り組み×3
闇の掌握×4
発生の器×4
殺害×2
破滅の道×1
精神背信×1
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